NO.13
御題:膝笑ふ
一日の終はりの功徳夕立かな
山百合をゴンドラに乗り見下ろせり
ひまわりのみな同じ方見つめおり
膝笑ふことも楽しき登山かな
夏深し太陽ぎらり照ることも
NO.14
御題:秋来る
夏夜明け昇る太陽撮らんとす
水元に秋の来たりて森写す
高齢化夏の夜明けの散歩びと
静かなる湖面に影の夏燕
師と共に撮りてゐるなり夏景色
NO.15
御題:妻の小言
春風や妻の小言を聞き流す
あたたかや万年筆の持ちこごち
締切が無くては書けぬ寒さかな
NO.17
御題:蓮の花
行田蓮前も後ろも行田蓮
御岳山蓮華升麻花二つ
幽玄や雷雨の後の山々は
蓮池の美に負けるかと傘開く
ケーブルの部屋に入るや雷豪雨
NO.18
御題:秋まつり
秋まつりどこから涌くか子が集ふ
挽太鼓近所の子らが綱を引く
担ぎ手を集め求めて町神輿
担ぎ手のなくして鎮座の子の神輿
秋まつり片づけ隊が一休み
NO.19
御題:臘梅
臘梅や朝日を浴びて輝けり
冬桜一足先の花見かな
雪だるま日を浴びてゐるダイエット
冬晴れや葛飾の野に富士仰ぐ
日脚伸ぶ読みたき本のみ飾りたり
NO.21
御題:菖蒲
華やかに菖蒲の時の町光る
堀切の菖蒲を愛し人つどふ
花菖蒲一番競ひ咲きにけり
漆黒の闇に浮かべる螢の火
溜息か夢幻か螢舞い
NO.22
御題:彼岸花
巾着田田んぼ一面彼岸花
彼岸花今世と来世の仲立ちに
高麗川の清流ひかる彼岸花
彼岸花赤に混じりて白もまた
NO.23
御題:西小菅
馥郁と梅の香のあり西小菅
白雪の富士を遠目に西小菅
枝垂れたる紅白の梅西小菅
紅白の梅の馨し西小菅
梅の香の中に仰げりスカイツリー
文学A